厚生労働省の調査によると建設業の有給休暇取得率は平均9.5日です。
全体の中で位置づけをほかの産業と比較しました。
産業 | 平均付与日数/1人 | 平均取得日数/1人 | 平均取得率/1人 |
---|---|---|---|
複合サービス事業 | 19.6日 | 14.2日 | 72.4% |
製造業 | 18.6日 | 11.7日 | 62.6% |
建設業 | 17.8日 | 9.5日 | 53.2% |
宿泊業・飲食サービス業 | 14.8日 | 6.6日 | 44.3% |
産業別にみると、最も多く取得しているのは72.4%の「複合サービス事業」で、最も少ないのが44.3%の「宿泊業・飲食サービス業」でした。建設業の有給休暇取得率は53.2%と、16産業の中でみると11位となっており、取得率がやや低い結果となっています。
厚生労働省の資料「労働者1人平均年次有給休暇取得率の年次推移」では、最も取得率が低かったのは平成16年の46.6%。平成29年頃から右肩上がりに取得率が上がり、令和に入ると56%以上をキープ、令和4年で58.3%まで上がりました。
2019年(令和元年)から施行された働き方改革の影響も追い風となり、全体的に有給休暇の取得率は上がっているといえます。
ただ、建設業の取得率は53.2%で平均よりやや低く、付与されている有給休暇が完全に消化されていない現場があることがうかがえます。
建設業は「休みが取れない」というイメージが強く、現場では忙しくて休みが取れない、予定を勝手に組まれるといった意見や書き込みなども散見され、建設業は「休みが取れない」という印象が強くなっているようです。
これには有給休暇の存在を知らない、そもそも周知徹底がされていないことや、管理者がその都度その都度で休暇の対応をしているといった原因もあり、実際は取得できるはずがその存在や方法を知らないため、有休取得率が下がってしまっている可能性があります。
小規模企業や建設現場で実際に働く人は政府が調査した建設業の平均取得率より低いと感じるかもしれません。業界的にも人手不足による人材の確保が求められている状況です。人材を定着させるためにも労働環境の改善は急務の課題といえるでしょう。ただ、建設業の有給取得率が年々上昇していることからも、改善に努めていることに間違いはありません。有給休暇を取得しやすい職場環境であるか、よく見極める必要があります。