建設業界で働くにあたり、「いつまで働けるのか?」と疑問を感じる方もいるでしょう。そこでこちらの記事では、定年制について解説しています。また、建築業における定年制のデータもまとめています。
「定年制」とは、一定の年齢に達した際に労働能力や働く意思とは関係なく、企業との労働契約がなくなる制度を指します。定年退職の年齢については、企業が自由に決められますが、基本的には60歳未満とすることはできません。
従来は定年を「60歳」と定めている企業が一般的だったものの、高年齢者雇用安定法の改正によって定年制度が変わってきています。ちなみに、高年齢者雇用安定法は、高年齢者の生活安定や経済・社会の発展を目的としている法律です。これまでどのような改正が行われているのかを見てみましょう。
2013年に行われた改正により、65歳までの雇用機会確保が義務となりました。2025年4月以降については、「65歳までの定年の引き上げ」「定年制の廃止」「65歳までの継続雇用の導入」のいずれかの対策を講じることが企業の義務となります。
2021年には、70歳までの就業機会確保のための改正が行われています。企業においては、「70歳までの定年の引き上げ」「定年制の廃止」「70歳までの継続雇用制度導入」「70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入」「70歳まで継続的に事業に従事できる制度の導入」のいずれかの措置を講じる努力義務があります。
上記に挙げたうち、最後の項目にある「事業」とは、「事業主が自ら実施する社会貢献事業」「事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献活動」を指しています。
ではここで、建設業における定年制について見てみましょう。厚生労働省が公表している「令和4年就労条件総合調査の概況」によりますと、建設業において定年制を定めている企業は96.3%、定年制を定めていない企業が3.7%という結果になっています。定年制を定めている企業のうち、その定め方については、「一律に定めている」が97.1%、「職種別に定めている」が1.5%、「その他の定め方」としている企業が0.1%でした。
こちらの結果から、建設業においては一律定年制を定めている企業が最も多いことがわかります。
続いて、建設業では定年の年齢についてどのように定めているのでしょうか。ここでは、一律定年制を定めている企業に関して、それぞれ何歳を定年と定めているかを調査しています。
建設業においては、定年年齢を「60歳」としている企業が最も多く67.7%、次いで「65歳」としている企業が26.2%となっています。中には66歳以上としている企業もあります。
最後に、定年後の措置についてはどのような対応になっているのかを見ていきましょう。
建設業において一律定年制を定めている企業のうち、勤務延長制度や再雇用制度を用意しているのは95.9%です。その内訳としては、「勤務延長制度のみ」としている企業は14.4%、「再雇用制度のみ」としているのが62.7%、「両方の制度を併用している」企業は18.7%で、再雇用制度を用意している企業の割合が高いという結果が出ています。
また、一律定年制を定めており、定年後の制度を用意していないと回答した企業は4.1%となっています。
こちらの記事では、「定年制とは何か?」という点から、建設業界における定年制の状況についてまとめました。
定年退職の制度は、高年齢者雇用安定法の改正により、さまざまな変化がみられます。現在少子高齢化が進んでいる状態の中で、高年齢者の雇用問題はより広がりを見せると考えられます。このような状況についていくためにも、それぞれの企業ではどのような制度が導入されているのかをあらかじめ確認しておくこともポイントといえるでしょう。